親戚のお見舞いに行った時のことだ。
医師からそう長くないと言われているその人に「元気そうでよかったです。まだまだ大丈夫!」と励ましたら、毒親は信じられないようなことを言った。
「元気そうに見えていても医者が言うことに間違いはないから、覚悟しておかないとダメだ」
その場が凍り付いたことは言うまでもない
一体、どういうつもりでそんなことを言うのか?
あの人には「心」というものががないのか?
「元気なのに、そんなこと言われたら嫌ですよね」と取り繕うと、「親戚だから言っただけなのに」とむくれる。
最後が近いから個室に移ったんだけど、「なぜ個室なんだ、個室はいいな」とうるさい。「先生も看護師さんも、やけにやさしいな」と騒ぐ。
最後が近いから個室なんだよ!
もうそんなに長くないから、みんな優しいんだよ!
なんでそんなことがわからないのか…
「あなた、もう長くないですよ」と知らせに行ったようなもので、私も親戚の家族も、なんとも言えない気持ちになって黙っていた。
その人は以前に脳梗塞を起して言語障害を患っている。しかし言葉は話せないが、感情はあるし、こちらの言っていることもわかっているように感じる。
それは少し対応すればわかるし、担当の医師もそう言っている。
しかしうちの毒親は最初の頃からずっと、「あんなの、なんもわかってない。こちらが言う事も理解してない」と言ってきかない。
何度もお見舞いに行っているのに、何にも察していない。
そう思っているからそんな無神経なことを言うのか? でも傍に家族がいるんだよ?
帰りの道々、毒親は言う。
「言いたいことを言って何が悪い」
「いちいち考えてものを言ってたら、何も言えなくなる」
だったら黙ってろよ!と思う。
挙句の果てに「だいたい私は病人の見舞いなんて嫌いなんだ」
ばつが悪いもんだから、幼稚園児レベルのふてくされたことを言ってるんだろ?
なぜこんなに無神経なんだろうか。
病人を見舞うという普通のことが、なぜできないんだ。
あの人にとって「お見舞い」とは病人を励ますことではなく、その人の状態を知りたいという好奇心と、物見遊山的なことが目的なんだろうと思う。
この人はもう、人間として終わっているよ。