先日、用事があって母に会った時、母は「犬を飼う」と言った。
私は「またか…」と思った。
母は80を過ぎている。しかも病気を患っている。
「いくら長生きしても15年先はわからないよね。もしもの時に預かってくれる人はいるの? 入院した時はどうするの? ペットホテルに預けるの? 私も兄弟もマンションだから預かれないよ。生き物だから、1日だってほっとけないんだよ?」
母は「今初めて気が付いた」という顔をした。
母は25年前にも犬が飼いたいと言って、反対する父を無視して飼ったことがある。
案の定すぐに飽きてほったらかし、散歩にも連れて行かない。
仕方がないので父が毎日散歩に連れて行き、世話をしていた。
今回だってきっとそうなるに違いない。
母はそういう人だから。
母が普通の人なら、犬を飼うのもいいかもしれない、気がまぎれるからと、何とか飼えるように動いてみると思う。
でもあの母だから、絶対にやめてほしい。
母は先のことを考えられない。
こうすればこうなると想像できない。
だからいつも後先のことを考えないで、突発的に動いてしまう。あるいは動かない。
そしてその後始末をするのは、父がいた頃は父が、父亡き今は私の役目になっている。
母だけでも大変なのに、犬の事まで面倒見切れない。
いい加減にしてほしい。