母の日に何も送らなくなって何年だろうか。
昔はいろいろ送っていた。
花の年もあれば、物を送ったときもある。
確かに、好みでないものを送られても困る気持ちはわかる。だから滅多に物は送らないようにしていた。
だたある年だけ「財布」を送ったことがあった。
その頃母が「財布が古くなった。いつもは派手な色ばかり買うけど、たまには上品な色のものが欲しい」と言っていたからだ。
母は長財布しか使わない。だからシャンパンゴールドとペールホワイトを足したような、優しい色の長財布を送った。どこかのブランドのものだ。
ところがそれから数年経ったある日、「これ、使わんかったから返すわ」と、そのベージュ色の長財布が、箱に入ったまま返却されてきた。
「捨てるのももったいないから、あんたが使い」だってさ。
どうやら、一度使ったけど使い勝手が悪かったらしい。
それならそれでいいんだ。そんなこともあるさ。
でも返すことないじゃん。
こっそり誰かにあげるとか、いっそのこと捨てるとかしてくれてもいいんだよ。
こんなことでどんよりする私が変なのか? 神経質なのか? ブランド物の財布を譲ってもらってラッキーって思うのが正解なのか?
そう思うと余計にどんよりした。
でも後日、アルバイト先のおばさん(自分もおばさんだけど)にこの事を話してみた。
するとそのおばさんは、「なんてこと… それは悲しいよね」と言ったのだ。
ああそうか、これはやっぱり悲しんでも良いことなんだ、と思った。
私はいつもこうなんだ。
何を悲しんでいいのかわからないんだ。悲しいんだけど、悲しいと思っちゃいけないような気がするんだよ。
感情に「正解」を求めてしまうんだ。これって毒親育ちあるあるなのかなぁ…
そんなことがあってから、母には食べ物や花など、消えてなくなる物しか送らない。
それもしなくなって8年くらいかな?
「あなたとは普通の付き合いはできません」と宣言して以来だな。