うちの毒母は、自分が属しているコミュニティー毎に「仮想敵」を作っている。
例えば、親戚なら○○さん、友達なら○○さん、習い事仲間なら…と言うふうに、誰か一人を「アホだ」とか「とろくさい」とか「自慢屋」などと決めつけて「敵」とするのだ。
「敵」とされている人は私から見れば「アホ」でも「とろくさい人」でもなく、ごく普通の人だ。母よりもよほど気の付く、配慮のある人のように感じる。
そんなに気に入らないのなら付き合わなければいいと思うが、それは絶対にしない。悪口を言いながらでも付き合う。むしろ悪口を言うために付き合っているのではないかと思うくらいだ。
毒母の習慣は、それぞれのコミュニティーで集まりがあった後は必ず、その「仮想敵」の悪口を言うことだ。
仲間内で他人の悪口に花が咲く、というのはよくあることだ。
しかし母は仲間の悪口を、なぜだか家族相手に言うんだ。
知らない人の悪口を聞くのは嫌なものである。立て続くとうんざりしてくる。
母の悪癖の起源は祖母にあると思う。
祖母も母と同じで、よく他人の悪口をいう人だった。一番の矛先は同居していた「長男の嫁(Aさん)」だ。
私から見ると、Aさんは長男の嫁としてするべきことはしているように見える。
悪口放題だった姑の面倒も最後までみた。
ものすごくできる、というわけではないが、とにかく「普通の人」だと思うのだ。
それでも「嫁を褒める姑はいない」と言われるくらいだから、祖母の嫁いびりは良くあることかもしれない。
しかし問題は母である。
母の親戚での仮想敵はこの「長男の嫁Aさん」だ。
何がそんなに気に入らないんだ?と言うくらいに悪く言っている。
たぶん母は祖母の「嫁に対する悪口」を、言葉そのまま受け取っているんだと思う。
母は周りの状況や人間関係などを考えることができない人で、一度頭に入った情報を更新することもできない。しかも思い込みが激しいときている。
だからいつまでも自分の母親が言った「嫁に対する一方的な不満」をインプットしたままなんだろうと思う。
亡くなった父や私が悪口にうんざりして、「あの人は普通にやってるんじゃないか」といくら言ったところで、「そんなことはない! あの人はアホでとろくさい人や!」とムキになってわめくのだ。
Aさんを悪者にしておかないと、自分の何かが壊れるんだろうか?