親が子供よりも未熟で愚かだった場合、子どもに出来なくなることが二つある。
一つ目は、親に甘えること。
二つ目は、親からアドバイスをもらうこと。
「この人はなんて愚かなんだ」と思うような人に甘えることはできないし、そもそも未熟で愚かな親は子供に甘えさせることができない。
未熟がゆえに、子どもを「子ども」として捉えることができず、張り合ってしまったり、余計なことを言ったりする。そんな無茶苦茶な親に甘えることなど、できるはずがない。
親に甘えることができない子供は、人より早く大人にならされる。”なる”んではなくて、”ならされる”のである。
早く大人にならされた結果、益々大人に甘えることが出来なくなる。親だけではなくて、他の大人に対しても無理になっていく。甘え方が分からない上に、甘えるのが恥ずかしくなるからである。
私は今でもそうだ。
自分が誰かに甘えている姿を想像するだけで、居たたまれないくらい恥ずかしくなる。その結果、なかなか人に頼れないし弱音が言えない。自分がいかに歪で、バランスの悪い人間に仕上がっていることかと思う。
アドバイスに関しても同じである。
未熟で愚かな親は、年齢的には大人であるが中身は幼稚園児と同じである。大人の見識とか、経験値などというものは持ち合わせていない。
しかも、人の話を的確に聞き取ることが出来なかったりするので、勝手な誤解をしたり思い込みで話を捉えたりする。その結果、実にトンチンカンな答えが返ってきたり、時には怒り出したりもするのである。
親から大人の意見や指導をもらえない子供は、すべて自分でやっていくしかない。試行錯誤と恥の連続である。非常に遠回りな人生を送る羽目になる。
正直、未熟で愚かな親など、いっそいない方がましなのではないか?
子供の頃はよく「誰かよその家の養子になりたい」と思ったものだ。本気で「これ以上この人の子供でいるのは嫌だ」と思ったのである。
なぜあんなにも未熟で愚かな大人が「親」をやっていたのかと思うが、親になるのに資格はいらず、誰でもその機会さえあればなれるので仕方がないのである。