私は母をバカにしていた。
表面上は仲の良い親子を演じておきながら、心の中では「なんて愚かで頭の悪い人なんだろうか」とバカにし、見下していた。
テレビのワイドショーで言っていることをマルっと信じ、「知ってるか? ○○らしいで!」などと、とんでもない真実を知ったかのように言われると心の底から呆れた。
ご近所の単なる噂話をこの世の真理のように言われるのもイヤだったし、論理的に破綻している話を聞かされるのもイヤだった。
でも最近、ふと思う。
あれってどちらが「悪」だったのだろう?と。
母は「素」のまま。
私は演じていた。
私が母をバカにしていることを母に知られてはいけない。
私はずっとそう思って、母に本心を悟られないように演じていた。
でもそれは、本当は「悪」なんじゃないかと思うのだ。
表面上は仲良くしていても、心の中で舌を出す。
それって物凄く性悪な行為なのではないかと思うのだ。
私は今、私自身が行ってきた「性悪な行為」に苦しめられている。
自分の子供は私を「毒親」と認識していて、そう思っていないフリをしているだけなのではないか? 本当は心の中で舌を出しているのではないか?
私は誰の思いも信じることができない。
本心は違うのではないかと疑ってしまう。
私が取るべきだった道は演じることではなく、その都度母と対決することだったのだと思う。
母に気を遣わず、母が傷つこうが悲しもうがそんなことには関係なく、自分の本心を伝えるべきだった。
私にはできなかったけど、今はそう思う。
もしそうできていれば、今のこの苦しみはなかったように思う。
相手を傷つければ、私自身が傷ついてしまう。
そんな心の弱さが招いた種。
やはり私と母は相性が悪すぎだのだ。
不幸な出会いだった。