母は昔から子どもに「何かを教える」ということをしない人だった。
教えないし、躾もしない。
当然のことながら子どもは何もできないわけなんだけど、それがわかると「こんなこともできないのか!」と嘲るんだ。
子どもができなければ教えるのが普通だと思うが、そういう親としての反応が全くなく、そればかりか自分の子どもにマウント取ってくるんだよ。
「お前はそんなこともできないんだ、私はできるもんね!」という具合に(高校生くらいまでの話だけどね)。
これは一体、どういう神経をしているのか…意味が分からん。
自分が親としての責務を果たしていなくて、その結果、我が子が困っていたり恥をかいたりしているのに、それを何の対処もせず、それどころか逆にマウント取ってくるのってどういうことなんだ?
私が毒親のことを「親だ」と思えないのは、こういうことがあるからなんだ。
躾をしてもらえない、常識とか習慣を教えてもらえない。そのことで大人になってからずいぶん恥をかいてきた。
大学生になった頃からかな、周りの友人や先輩から色々と注意され、教えられ、何とか普通の人が持ってるくらいの常識は身に付いたと思う。
かつて私に助言・苦言をしてくれた人々には本当に感謝している。言いたくないことを言わせてしまって、本当に申し訳ないと思う。
「他人から注意されて、それで修正をかけて、それを繰り返していくうちに段々とできるようになるんだよ」と言うようなことを母親に話したことがある。もちろん「あなたが何もしてくれないから」とは言わずにだ。
ところが母親は「つまらないことを言う!」と不機嫌になった。
たぶん母としては、子どもが「そういうこと」ができるようになるよりも、自分と同じようにいつまでも何もできずに、それを恥だとも思わず、のほほんと暮らしてくれる方がいいのだろう。
そして母と一緒になって「そんなことできんでもいいんや!」と言ってくれた方が良いのだろう。
例えば私の兄弟のように、のし袋の表面に相手の名前を書いて渡してしまい、その間違いを渡した相手から指摘されても、「こんなことがあった~」と笑って言えるような人がいいのであろう。
これは兄弟が40歳を過ぎたころの話なんだが、彼は恥だとは微塵も思っていない。話を聞いた母親も私に面白おかしく話すくらいだから何とも思っていないのだろう。恐るべしである。
子どもの成長を喜ばない毒親は、害にしかならないと思う。