幼いころから高校生まで、不気味で不吉な夢をよく見た。
小学校低学年の頃、
モスグリーンの背景と静寂の中、
私が海に落ちてゆっくりと沈んでいく夢を繰り返し見た。
落ちてゆくとき、エレベーターで下る時の、あの嫌な感覚があった。
海底まで沈むと、ピーンというピアノの音がして、半分海底に埋もれた骸骨を見た。
半月ほど続けて見て、忘れたころにまた見て…
恐くはなかったが、不気味な夢だった。
中学生から高校生の頃は、誰かを殺してしまう夢を何度も見た。
故意にではないが、成り行き上殺害してしまうのだ。
「どうしよう、人を殺めてしまった」という焦りの中で目が覚め、
それが夢だったと分かった時は心からホッとした。
忘れられないのは高校生の時に見たもの。
私が日本刀を振り回し、
実家の前の道路で、次々と人をたたき切っている夢。
通り魔ではなく何か理由があったのだが、もう忘れてしまった。
これはさすがに恐ろしかった。
その時の映像をおぼろげながら覚えているが、
そんな夢を見る自分が怖かった。
なぜこんなに、犯罪を犯す夢ばかり見るんだろうと不思議だった。
何かの教訓?
犯罪を犯すとこんな気持ちになりますよ、という警告?
今思えば、原因はストレスだったのではないかと思う。
中学校の3年間は友人関係に悩み、暗黒の日々だった。
高校生になって気の合う友人ができ、学校生活をそれなりに楽しんでいたが、
それでも一日中集団の中にいる息苦しさは変わらず、相当にストレスが溜まっていたんだろうと思う。
家庭内でも問題は起こっていた。
悪夢を見ていた時期、両親の夫婦喧嘩の頻度は一番高かった。
あれやこれやのストレスが、
夢として現れていたのかもしれないな…
不思議なことに、結婚してからは悪夢を見なくなった。
実家から物理的に離れたこと、
自分の「家族」ができた安心感からかなと思う。