それ以上考えない人
母は「それ以上考えない」人だ。
何かわからないことがあってもそのまま放置。自分で調べることはしない。
しかも本人はそれを「私は素直だから」と言っている。
「素直だから、相手が言ったことをそのまま信じる。わからなくても素直に聞く(聞き返したり質問したりしない)」そう言いたいようだ。
「本気でそう思っているんだろうか?」と思うが、どうやらそうらしい。
だから「どうしてそうしなかったのか?」と問われると、「誰も教えてくれなかったから」という答えが返ってくる。
母が家事(単なる家事)以上のことができないのは、このことが原因だろうと思っている。
自分が腑に落ちるまで調べたり考えたりしないので、初級から一向に上達しないのだ。
半径500mの情報
それは「親」の仕事についてもそうだ。
「親」の仕事は、単なる家事や家計を支えることだけではない。
家族の健康に気を配ったり、家計や貯蓄を考えたり、子供の進路や学校生活などなど、考えたり話し合ったり、リサーチして動くことが必要だ。
ところがうちの母は、そういうことを一切しない。夫婦で話し合いさえしない。
情報源はいつも、家にやってくる営業マンか自分の友達だけだ。
自分から動かないので、向こうからやってくる人か、そこにいる人のどちらかになる。
別に友達に聞いてもいいんだよ。でもその情報をもとに、普通はしかるべき人に確認しないだろうか。
年金の事なら年金事務所に、申請の事なら役所に、子供の事なら学校の先生とか塾とか、そういう専門の人に訊くだろう?
でも母はそういうことは、よほどのことがない限りにしない。
たとえその情報が間違っていようと、半径500メートルから得た情報を「素直に」そのまま信じてしまう。
「あれはこうだからこうなる、したがってこの情報は間違いだな」なんてことにも気が付かないので、ちょっと考えればわかるだろうと思うような誤報を信じていたりする。
気分次第の助言
だから子供の進路なんてめちゃくちゃだ。
「そんなとこに行ってどうするの? 将来、どんな職業に就くつもりなんだ?」というような進路を平気で進めてきたりする。
理由は「○○さんの息子が行ってるから」とか、「かっこいいと思うから」とか、先のことを全く考えていない、小学生のような提案なんだ。
これは就職の時も同じだった。
私は母の助言など聞く気もなく勝手に進路を決めたけれど、他の兄弟はえらい目にあっている。
兄弟の適性も将来も考えず行き当たりばったりな対応で、しかも一貫性のない勝手な希望を押し付け、あっちこっちに進路が変更。結果、兄弟はずっとフリーター生活だ。
(別にフリーターが悪いと言っているわけではない。本人が希望していない道なので、それはやはり上手くいったとは言い難い)
本人の資質の問題もあって希望通りにいかないかもしれないけど、それでも「この子はこういう道がいいのではないか?」くらいは考えないんだろうか。
「わからないこと」がわからない
わからないことをそのままにしておくのは、調べ方がわからないこともあるだろうけど、そもそも「わからないこと」それ自体がわからないんだろうな、と思う。
なんにもわからないから、調べようがないんだろう。
専門の部署に訊きに行かないのも、相手の説明がわからないからではないかと思う。
こんなことが頻発すると、「この人は頭が悪いんだろうな…」と思わざるを得ない。
「親ガチャ」の当たりとは
「親ガチャの当たり」とは「頭の良い親」に当たることだと思うよ。決して経済面ではないと思う。
よほどの極貧でない限り、お金のことは何とかなる。それよりも頭の良いしっかりした親に当たることの方がずっと重要だと思う。
「頭が良い」とは学校の勉強のことではなくて、先のことを考えたり、人間関係の調整ができたり、気付きや気配りのできる人のこと。そして論理的思考ができる人がいい。
そういう人が親なら、家族間のトラブルも随分と減るのではないかと思う。
思うようにいくかどうかは運しだいだけど、それでも頭の悪い親に当たるよりは、ずっとスムーズに進むのではないだろうか。
頭が悪いことは生まれつきの問題なので、むやみに相手を責めるわけにはいかないけれど、家族の中に頭の悪い大人が一人いると本当に厄介なんだ。